バイクのホイールが持つ歴史を知ろう

商品としてのバイクが市場に登場したのは19世紀末のドイツで、その後アメリカやヨーロッパ各国で開発競争が広まっていきました。
日本で国産のバイクが登場したのは20世紀初頭とされています。
この時期に生産されたバイクで採用されていたのは、ステンレスやスチール製のスポークを使用した「スポークホイール」です。
リムとハブを丈夫なスポークで繋ぐことにより高いクッション性が生まれ、安定した走行に大きく貢献していました。
また、スポークは簡単に交換ができるため、メンテンナンスしやすいというメリットもあります。

スポークホイールに代わるデザインとして1970年代に登場したのが、「キャストホイール」です。
これは鋳造(Die Casting)に由来する表現で、溶かした金属を型に流して作ったホイールを指します。
キャストホイールは一体型なので、スポークホイールと比較すると高剛性で衝撃に強いというメリットがあります。
また、スポークホイールのように1本1本のスポークが緩んでいなきかチェックする必要がありません。

ただし、初期のキャストホイールは主に鉄を使用していたため、走行中の安定性は高いもののスポークホイールと比較すると重量が極端に大きく、バイクのスムーズな加速を妨げているというデメリットがありました。
そこで登場したのが「コムスターホイール」です。
ホンダが開発したコムスターホイールは、細いスポークの代わりに金属製のプレートを採用することで、軽量を維持しつつ高剛性を確保するという2つのメリットを両立させることに成功しました。
ただ、キャストホイールの原材料として鉄以外の素材が使用され軽量化が進んできたことから、1986年以降はホンダもコムスターホイールではなくキャストホイールを採用するようになっています。

現在のホイールが持つ特徴について

現在ではほとんどのバイクでキャストホイールが採用されています。
その背景として、アルミやマグネシウムを使用することにより、剛性を維持しつつ軽量化を図ることに成功したという点が挙げられるでしょう。
また、スポークホイールではチューブレスタイヤを使用することができないため、やや利便性に欠けるという点もキャストホイールの広がりを生む結果となりました。

一方でスポークホイールの持つクラシカルな雰囲気は、「カッコよさ」を求める多くのライダーから引き続き支持されています。
また、パーツの交換が容易で耐衝撃性に優れていることや、キャストホイールと比較して低コストであることなども評価されており、海外を中心として引き続きスポークホイールを採用したモデルの需要は存在しています。
近年ではさびに強いステンレスのスポークも登場していることから、スポークホイールのニーズは引き続き維持されていくと言えるでしょう。

 

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